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経験

 泉佐野駅に着いた

 どどどどどっ
 高校生20人ほどが乗ってきた
 いままで4,5人の静かな車内が一気に騒々しくなった
 椅子に飛び乗る
 反対向いて椅子に座る
 ガタガタ
 電車の窓ガラスを開けた
 窓ガラスは上から下に開く方式であった
 窓枠の半分だけ開いた
 そこから頭を突き出し手をふったり下を見たりしている

 なにごとかと不思議であった
 何をするのだろう
 胸まで電車から頭を突き出している
 総勢4人
 電車はスピードを上げた最高スピードになった

 危ないぞー
 電柱や建物にぶつかって腕が千切れ飛ぶぞー
 内心そう思って眺めた

 皆が一斉に引っ込んだ

 ゴウォーーーッ

 反対車線に電車が来た

 彼らは高校生
 電車内の無頼は許そう
 そう思うと同時に

 そこまで不作法をするなら「肝試しをやらんかい」と思った

 反対車線の電車がすれ違うとき
 出来るだけ腕を伸ばし、誰が一番長く伸ばしていられるか
 間違えば腕が吹っ飛ぶ

 そのぐらいの肝がないのかい

 それがないのやったら静かに座っとれ

 口には出さず頭の回路だけで言った

 小学6年だったと思う
 一人坊ちゃん列車に乗っていた
 手を長く伸ばして風を気持ちよく受けていた
 手の平が
 ばっしーーん
 右肩から千切れたかと思った
 鉄橋の柱に手がぶつかったのである

 あれ以来窓から手を出すということはしなくなった

 いま、右腕が無事にあることを電車内の高校生に教えてもらった

 伊予鉄道の坊ちゃん列車
 せいぜい時速30か40kmでなかったろうか
 窓は手で幾らでも開けられた
 乗降口は戸はなくそこに経っていると振り落とされそうになることもあった

 駅に着いた
 車掌さんは列車が止まると同時にホームに飛び降りていた

 それを真似して自分も飛び降りた
 体がころころころと転がった
 列車が完全に止まっていなかった
 体は惰性で前に転げるということを知った

 経験は危なさを教える

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